初心者向けに解説!Laravelとは何か?
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- コーディング
こんにちは、AndHAコーディング部です。 Web開発にはさまざまなフレームワークが存在しますが、中でも初心者にとって使いやすいツールの1つがLaravelです。 しかしLaravelについてよく知らなかった経験はないでしょうか。 そこで本記事では、Laravelの特徴について解説します。
目次
Laravelの概要
Laravelは、PHP言語をベースとしたWebアプリケーションフレームワークです。 Taylor Otwell氏によって2011年6月に最初のバージョンがリリースされ以降、非常に人気のあるフレームワークです。
Laravelは、効率的かつ堅牢なWebアプリケーションを構築するためのツールとリソースを提供しており、多くの開発者にとって非常に便利なツールです。 また、LaravelはMVCモデルを採用しているため保守性に優れています。 MVCモデルについては下記項目で説明します。
MVCモデルとは
MVC(Model-View-Controller)モデルは、ウェブ開発やソフトウェア開発において一般的に使用される設計パターンです。LaravelもこのMVCモデルを採用しています。
MVCモデルは、アプリケーションのコードを以下の3つの主要なコンポーネントに分割する手法です。
モデル(Model)
モデルはアプリケーションのデータとデータロジックを担当します。つまり、データベースからデータを取得したり、データを保存・更新・削除する責任を持っています。
モデルはアプリケーションの「情報源」として機能し、データの操作や処理を担当します。例えば、ユーザー情報や商品情報を取得するのに使われます。
ビュー(View)
ビューはユーザーに情報を表示する役割を果たします。つまり、ウェブページの外観やレイアウトを担当します。
ビューはユーザーが見るウェブページの部分であり、データを視覚的に表現するためにHTML、CSS、JavaScriptなどを使用します。例えば、ユーザーに商品リストやプロフィールページを表示します。
コントローラ(Controller)
コントローラはユーザーのリクエストを受け取り、適切なモデルを呼び出して必要なデータを取得し、それをビューに渡して最終的なウェブページを生成します。
コントローラはアプリケーションの「中継者」として機能し、ユーザーからのリクエストに応じて適切なアクションを実行します。例えば、ユーザーが特定の商品ページを要求した場合、コントローラはその商品の詳細情報をモデルから取得し、ビューに渡します。
LaravelはMVCモデルを実装し、アプリケーションのコードをモデル、ビュー、コントローラに分割して、ウェブ開発を効率的に行うためのフレームワークを提供しています。 この分離と構造化により、開発者はアプリケーションの各部分を個別に開発し、保守しやすいコードを構築することができます。
Laravelを使ってできること
Webアプリケーションの構築
Laravelを使用して、Webアプリケーションを構築できます。これは、Webサイト、ブログ、オンラインストア、SNSのプラットフォームなど、さまざまな種類のアプリケーションを指します。
データベース操作
データベースとの対話を簡素化し、データの追加、編集、削除、検索などを行うためのツールを提供します。Eloquent ORMを使用することで、データベーステーブルをオブジェクトとして操作できます。
ログインシステム
ユーザーの登録、ログイン、ログアウト、パスワードリセットなど、ユーザー関連の機能を簡単に組み込むことができます。Laravelの認証機能は効率的でセキュアです。
Webページのデザインのカスタマイズ
LaravelのBladeテンプレートエンジンを使用して、Webページのデザインと表示を簡単にカスタマイズできます。データの埋め込みや条件分岐、ループなどをサポートしています。
Laravelを使うメリット
チーム作業がしやすい
Laravelプロジェクトをバージョン管理システム(例: Git)で管理することで、変更履歴の追跡やチームメンバー間の協力が円滑に行えます。
web初心者でも比較的学習しやすい
詳細な公式ドキュメントを提供しており、初心者にとっても理解しやすい情報が豊富に揃っています。ドキュメントには具体的なコード例や手順が含まれています。また初心者が学びやすいように、コーディング方法や設計パターンが採用されており、PHPの基本的な概念を理解しやすくなっています。
高頻度のアップデート
Laravelは非常に大規模なコミュニティに支えられており、多くの開発者がコードの改善や新機能の提案を行っています。この活発なコミュニティの存在は、新しいアップデートが継続的に行われる一因です。
強固なセキュリティ
Laravelには認証とアクセス制御を簡単に実装できる機能が備わっています。ユーザーの認証、ロールベースのアクセス制御、ポリシーの使用などがサポートされています。またパスワードを保存する際、Laravelはbcryptと呼ばれる強力なハッシュ関数を使用し、ユーザーパスワードのセキュリティを確保します。
Artisanコマンド
ArtisanはLaravelのコマンドラインツールです。Artisanを使用することでLaravelプロジェクトの作成やコントローラやモデル等のコードの生成、ユニットテストや機能テストの実行、タスクのスケジュール設定などを行えます。Artisanを使用することで多くの重要な作業を効率的に実行できます。
MVCモデルを採用している
LaravelはModel-View-Controller(MVC)アーキテクチャを採用しており、アプリケーションのコードを分離し、コードの再利用性と保守性を向上させます。
Laravelのデメリット
PHPの予備知識が必要
Laravelは初心者にとって比較的学習コストがかかることがあります。特にPHPやWeb開発の経験が浅い場合、フレームワークの概念や特有の構文を理解するのに時間がかかることがあります。
処理速度が遅くなりやすい
LaravelはComposerによって多くの依存関係を持っており、これらの依存関係がプロジェクトに追加されるため、プロジェクトのファイルサイズが大きくなります。そのため処理速度の遅延を引き起こしやすくなります。
アップデートと互換性
Laravelの新しいバージョンにアップデートする際、既存のコードやパッケージが互換性の問題を引き起こすことがあるため、アップデートは慎重になる必要があります。
これらのデメリットは、特定のプロジェクトや開発者のニーズに依存します。Laravelは多くの場面で非常に効果的である一方で、一部のプロジェクトでは適していない場合もあります。適切な選択肢を検討し、プロジェクトの要件に合ったフレームワークを選ぶことが重要です。
Laravelのディレクトリ構造について
project/
│
├── app/ // アプリケーションのコアコード
│
├── bootstrap/ // アプリケーションの起動プロセスと設定
│
├── config/ // アプリケーションの設定ファイル
│
├── database/ // データベース関連のファイル
│ ├── migrations/ // データベーススキーマ変更を定義
│ ├── seeds/ // データベースに初期データを挿入
│
├── public/ // 外部からアクセス可能なファイル(ウェブ公開ディレクトリ)
│
├── resources/ // アプリケーションのリソースファイル
│ ├── views/ // ビューファイル(ウェブページの表示方法を定義)
│ ├── lang/ // 言語ファイル(多言語対応をサポート)
│ ├── assets/ // Sass、Less、JavaScriptファイル(外観と振る舞いをカスタマイズ)
│
├── routes/ // ルート定義
│ ├── web.php // ウェブアプリケーションのルート
│ ├── api.php // RESTful APIのルート
│ ├── console.php // コンソールコマンドの定義
│
├── storage/ // アプリケーションが生成するファイル
│ ├── app/ // アプリケーションが生成するファイルやユーザーアップロードのファイル
│ ├── framework/ // キャッシュファイルやセッションデータ
│ ├── logs/ // アプリケーションのログファイル
│
├── tests/ // テストコード
│
├── vendor/ // Composerによってインストールされた外部パッケージ
│
├── .env // 環境設定ファイル
│
├── .env.example // 環境設定のサンプルファイル
│
├── .gitignore // Gitの無視設定ファイル
│
├── composer.json // Composerの依存関係設定ファイル
│
├── README.md // プロジェクトの説明やドキュメント
│
└── ... // その他のプロジェクトファイル
appディレクトリ
ここにはアプリケーションのコアコードが格納されており、以下のサブディレクトリに分かれています。
Http
ユーザーのウェブブラウザからのリクエストを処理するためのコードがここにあります。ウェブページの表示やデータの処理に関与します。Providers
アプリケーションのサービスプロバイダとファサードを定義する場所です。外部ライブラリやサービスとの統合を可能にします。- その他:
モデル(データの構造を定義)、ジョブ(非同期タスクの実行)、イベント(アプリケーション内でのイベント通知)、ポリシー(アクセス権限の定義)など、アプリケーションの異なる部分がここに配置されます。
bootstrapディレクトリ
アプリケーションの起動プロセスと設定に関連します。app.php
ファイルはアプリケーションの基本設定と依存関係の設定を行い、アプリケーションの起動をサポートします。
configディレクトリ
アプリケーションの設定ファイルが保存されています。データベース接続、キャッシュ設定、認証設定など、アプリケーションの動作をカスタマイズできます。
database:ディレクトリ
データベースに関連するファイルが含まれています。主に2つのサブディレクトリがあります。
migrations
データベーススキーマ変更を定義するマイグレーションファイルが保存されています。新しいデータベーステーブルを作成または変更するのに役立ちます。seeds
データベースに初期データを挿入するためのシードファイルが保存されています。
publicディレクトリ
外部から直接アクセス可能なファイル(画像、CSS、JavaScriptなど)を格納します。ウェブサーバーからアクセスされ、ユーザーにコンテンツを提供します。
resourcesディレクトリ
アプリケーションのリソースファイルが配置されています。以下は主なサブディレクトリとその用途です。
views
Bladeテンプレートを含むビューファイルがここに格納され、ウェブページの表示方法を定義します。lang
言語ファイルが保存され、多言語対応をサポートします。assets
スタイルシート(Sass、Less)やクライアント側のJavaScriptファイルが保存され、ウェブアプリケーションの外観と振る舞いをカスタマイズします。
routesディレクトリ
アプリケーションのルート(経路)を定義します。以下は主要なファイルと役割です。
web.php
ウェブアプリケーションのルートを定義し、ユーザーのブラウザからのHTTPリクエストを処理します。api.php
RESTful APIのルートを定義し、外部からのAPIリクエストを処理します。console.php
コンソールコマンドの定義を行い、コマンドラインからのタスクを管理します。
storageディレクトリ
アプリケーションが生成するファイルが保存されます。以下は主要なサブディレクトリとその役割です。
app
アプリケーションが生成するファイルやユーザーアップロードのファイルが格納されます。framework
キャッシュファイルやセッションデータなどが保存されます。logs
アプリケーションのログファイルが保存され、問題のトラッキングやデバッグに使用されます。
testsディレクトリ
アプリケーションのテストコードが格納されています。PHPUnitを使用してユニットテストや機能テストを実行できます。
vendorディレクトリ
Composerによってインストールされた外部のパッケージやライブラリが格納されています。通常はこのディレクトリの内容を直接変更する必要はありません。
.envファイル
アプリケーションの環境設定を保持します。データベース接続情報やアプリケーションの設定を含み、異なる環境間で設定を変更できます。
.env.exampleファイル
.env
ファイルのサンプルで、環境設定の基本的な構造を示します。実際の環境設定はプライベートな情報であるため、.env
ファイルをバージョン管理システムに含めないようにします。
.gitignoreファイル
Gitの無視設定を含み、Gitリポジトリに追加しないファイルやディレクトリを指定します。設定ファイルやキャッシュなど、不要なファイルを除外します。
composer.jsonファイル
Composerの依存関係設定ファイルで、プロジェクトが依存するパッケージやライブラリをリスト化します。Composerを使用して外部の依存関係をインストールします。
README.mdファイル
プロジェクトに関する説明やドキュメントを含むファイルです。他の開発者やプロジェクトの利用者に対してプロジェクトの概要や使用方法を提供します。
公式ドキュメント
Laravel – The PHP Framework For Web Artisans
いかがでしたでしょうか。 Laravelを特徴や利点を知り、使いこなすとWebアプリケーションの開発効率がより良くなります。 ぜひお試しください。