文章術のベストセラー本から学ぶ、100冊から抜粋した7つの必勝原則

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『これで達人!? あなたの文章がグッとよくなる』

アンドエイチエーでWebディレクターをしている田中です。

本記事では、小川真理子氏と藤吉豊氏による著書『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』を参考に、さらに厳選した「本当に大切な7つのルール」をご紹介します。

本書は、文章術に関するベストセラー本100冊をさらに徹底的に分析した本です。100冊分の叡智が詰め込まれているといっても過言ではありません。100冊から抽出した40のポイントがあり、さらにその中でも多くの書籍で言及されていることをランキング化しています。本記事ではそのランキング上位7つまでを、より詳しくかみ砕いていきます。

目次

第1位:文章は「シンプル」に

映えある第一位に輝いたのは、『文章はシンプルに』です。53/100冊に記されているたとのことで、最重要ポイントですね。

「シンプルとは結局何なのか」という疑問が出てきそうですが、以下3つのポイントを意識すると良いでしょう。

  1. 余計な言葉はとにかく削って、簡潔に
  2. 1文の長さの目安は「60文字」以内
  3. ワンセンテンス・ワンメッセージ

余計な言葉はとにかく削って、簡潔に

「削っても文章の意味が変わらないのであれば削る」というのが基本です。以下、削る際の例を挙げます。

  • 削っても文章の意味が変わらない
    悪い例:新型コロナウイルスというものは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中のいたるところすべてで、とても大きな被害が発生する状況が続いているのです。
    良い例:新型コロナウイルスは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中で大きな被害が出ています。
  • 削りやすい言葉|副詞
    • とても
    • 非常に
    • すごく
  • 削りやすい言葉|意味の重複
    • まず最初に→最初に
    • 思いがけないハプニング→ハプニング
    • はっきり断言する→断言する

1文の長さの目安は「60文字」

1文の長さは60文字前後が良いとされています。

悪い例:消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されますが、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しないしくみが採られています。(95文字)

良い例:消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供に対して、公平に課税されます。(36文字)生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかからないしくみが採られています。(38文字)

「分けて、分けて、単純にして、それを繋ぐ」という意識です。

ちなみに、本ブログをPCで見た場合、一行に入る最大文字数は全角37文字です(二行の場合74文字)。そのため、一文が三行になっていたら目安を超えていることになります。1つの目安にしてみてください。

ワンセンテンス・ワンメッセージ

ひとつの文に・ひとつの内容」という意味です。
例えば、以下のような感じです。

悪い例:会議は明日の午前9時から、本社3階の第1会議室で行ない、新商品の販売促進プランについて話し合います。

良い例:会議は明日の午前9時から行ないます。場所は本社3階の第1会議室です。新商品の販売促進プランについて話し合います。

シンプルにすることで、読み手にも書き手にもメリットがある

シンプルに書くメリットは以下です。

  • 内容が相手に伝わりやすくなる。
  • 文のリズムが良くなり、読みやすくなる。
  • 主語と述語が近づくので、事実関係がはっきりする。
  • 書き手の「短い文で正しく伝えよう」という意識が高まるため、もっと適した言葉を探して選ぶようになる。

シンプルを意識するだけで、読み手と書き手それぞれに対してメリットがあるようです。

シンプルも適度に

ただし注意して欲しのが、「シンプル」とは、単に簡単にしたり構成要素を少なくすることを指すのではありません。

文章を書く目的を達成する上では、無駄無く、かつ伝わる状態(読んだ人にとって効果がある状態)にすることが大切です。シンプルを極めすぎて伝わらないのでは、シンプルではなく「雑」です。文章にする意味が失われてしまいます。シンプルの意味をはき違えないようにしましょう。

第2位:伝わる文書には「型」がある

次いで多く書かれていたポイントは『伝わる文書にするには型にはめる』です。

代表的な型として3つ挙げられています。

代表的な型

  1. 逆三角形型:
    『結論 → 説明 → 補足や個人意見』の流れ。
    ビジネス向きで、基本はこれでOK。
    どこで読むのをやめてもいいように重要なものから先に書くため、多忙な読者に対して特に有効。
  2. PREP法:
    『結論(主題)→理由→具体例→結論(提案)』の流れ。
    ビジネス向きで、説得力をより高めたい時に有効。
    読み手の理解・納得・共感を促すことができるので、ブログ等で特に有効。
  3. 三段型:
    『序論→本論→結論』の流れ。
    具体的には、「疑問 → 問題の原因分析 → 解決策」の流れ。
    論文向きで、結論に行きつくまでの”展開の正しさ”や”ストーリー性”を重視したい時に有効。

型にはめるメリット

文章を上記の型にはめるメリットは以下になります。

  • どの内容をどの順番で書けばいいのか迷わなくなる。
  • 情報の過不足が無くなる。
  • 結論がはっきりし、論理破綻しにくくなる。
  • 当てはめればいいのでスピードが上がる。

逆に言えば、文章が下手な人はこれらができていないということになります。型にはめて書くだけでも、文章力を高めることのできる一番の近道です。型を破りたければ、型を知ってからにしましょう。

応用編:1時間で書けるブログの型

ブログが書けないと悩む時、ありませんか?

そんな時、先ほどの3つの型で述べた「PREP法:主題 → 理由 → 具体例 → 提案」の型は、ブログが書きやすい型として本書でオススメされています。

では、この型にはめるためにまず整理しておきたい事として、以下にあげました。これらをまずメモ程度に考えて型にはめていくだけでも、ある程度書けるはずです…!ぜひ!

  1. テーマ(書きたい内容)を決める。
  2. 決めたテーマの「特徴」「概要」を書き出す。
  3. そのテーマに至った「きっかけ」(好きになった・悩んだ・嬉しかったなど、自分の感情が動いた瞬間の事)を書き出す。
  4. それを人にお勧めする「理由3つ」を挙げる。
  5. 始めてみたい・使ってみたいと思っている人へ「アドバイス」を書き出す。

第3位:文章も「見た目(ルックス)」が大事

第3位には、「文章の見た目」に関する項目です。

簡単に言えば「字面(じづら)」です。ルックスを良くするポイントは以下になります。

余白で読みやすい印象を与える

Webの場合、デザインが左右する部分でもあるので、難しい場合もあるかもしれません。ただ、第一位で述べた「シンプル」を意識することでも余白を作ることが可能です。

ひらがなと漢字のバランス

目安は、「漢字2・3割、ひらがな7・8割」。

  • 漢字が多い = 硬い印象で、難しい内容だと感じやすい。テンポ早く読める。
  • 漢字が少なめ = やわらかい印象で、簡単な内容だと感じやすい。テンポ遅く読めるので、あえてゆっくり読ませたい時に有効。

→ 文章の内容や送る相手によってバランスの使い分けをすると、さらに良い文章になります。

実際に読む人の環境にも配慮する

本書には書かれていないものの、特にWebの場合は意識して欲しい事です。

例えばWordPressなどのサービスでブログを書く場合、自分の見ている画面で良かれと思って改行するのは危険です。読み手が見ている画面幅(実際の表側の画面)や見ているデバイス(PC、スマホ、タブレット)によっては、意図しない位置で改行されたりします。

そのため、文の”途中”での改行はせず、改行する場合は「句点(。)」で改行すべきです。

第4位:文章は必ず「推敲」する

第4位は「推敲」。「読み直せ」とのことです。

前提を揃えるために、そもそも推敲とは何なのかですが、以下になります。

推敲 = より良い文章になるように、練り直すこと。
添削 = 他人が手を加えること。

頭から書き始めてそのまま書き終えるなんて達人のような文章力は期待せずに、何度も何度も、見直し・切り貼りしましょう。

推敲する時のオススメ方法

  1. 時間を置いて読み直す
    「夜に書いて、朝に見返したら、あれ?」ってなることはないでしょうか?
    文章を書いてるときは、書いている内容が頭に入っている(読まなくても分かる)状態のため、客観性を失いがちです。時間を置いて読み返すと良いです。
  2. 他の媒体や紙にして読み直す
    本書では「プリントアウト」をし、紙にして読み直すことをオススメされています。
    しかし、プリントアウトが難しい場合もあると思います。難しい場合、例えばメモアプリなどに下書きし、WordPressに正書する。あるいは、家で書いて会社で読むなど読む場所を変えるのも手でしょう。
  3. 声に出して読み直んでみる
    声に出すと、スラスラ読めずリズムの悪さに気が付いたり、誤字脱字に気が付いたりします。
  4. 他人に読んでもらう
    「添削」になりますが、自分では気づけなかった修正点が発見できたりします。

推敲の10のチェック項目

推敲する際は、以下に注意してみましょう。

  1. 書かれている内容に間違いがないか、論理が破綻していないか
  2. 文字を削って、1文を短くできないか
  3. 改行や空白行で余白を作る(Webの場合は、PCとSPを考慮する必要があるので、文途中などのむやみな改行は避けた方が良い)
  4. 誤字・脱字がないか
  5. 句読点の位置は適切か
  6. 漢字とひらがなの比率はどうか
  7. 表記ゆれはないか(表記と用語を統一する)
  8. 不快感を伴う表現や差別用語などはないか
  9. 主語と述語の関係は適切か
  10. 重複表現がないか

第5位:「わかりやすい言葉」を選ぶ

第5位は『わかりやすい言葉を選ぶ』です。

そもそも「わかりやすい言葉を選ぶ」が分かりにくいかと思うので、以下に例を挙げます。

「難しい言葉」を「簡単な言葉」に置き換える。

  • 難しい言葉の例:
    問題解決は喫緊の問題であり、可及的速やかに諸般の対策を講じる所存です。
  • 簡単な言葉の例:
    急いで問題を解決する必要があるので、できるだけ早くさまざまな対策を行いたいと思います。

上記例は少し極端かもしれませんが、意識するだけで、読み手の文章に対する抵抗感は薄いはずです。

ただ、文章を読ませたいターゲットによっては、逆の「簡単な言葉」を「難しい言葉」に置き換えることも必要です。ターゲットを定めて言葉を選ぶようにしましょう。

普段何気なく使ってる言葉が「専門用語」ではないか、改めて客観視する。

Webで例えるなら、「ブラウザ」も人によっては専門用語だったりします(私自身、話す相手によっては、「ブラウザ」ではなく「クローム」や「Webサイトを見るときのソフト・アプリ」などに置き換えることもあります)。

もちろん、すべてに解説を入れていては「シンプルさ」が失われます。文章を見るターゲットを考慮し、そのターゲットが分から無そうであれば、解説を入れるようにしましょう。

人によってとらえ方が違うような言葉を雑に使わない。

Webで例えるなら「かっこいいWebデザイン」のような言葉です。

「かっこいい」は人によってとらえ方が異なります。誰が読んでも同じ解釈になる文章を書くためには、「曖昧な言葉や用語を使わない」ということが大切です。

第6位:比喩・たとえ話を積極的に使う

第6位は『比喩・たとえ話を使う』です。

比喩を使う際の3つの方法

  1. 使いやすいのは「直喩」「隠喩」「擬人法」
    1. 直喩:
      「まるで○○のような」「○○みたいな」 。
      例:「コミュニケーションは双方向である」→「コミュニケーションはキャッチボールのようなものである」
    2. 隠喩:
      「のような」「みたいな」を使わずに例える手法。
      例:「あの人は繊細だ」→「あの人はガラスの心を持っている」
    3. 擬人法:
      生物やモノなど、人間ではないものを人間の言動に例える手法。
      例: 「今にも雨が降りそうだ」→「今にも空が泣き出しそうだ」
  2. より強い印象を与えたい時は「隠喩」
    直喩の場合・・・「あの人は悪魔のような人だ。」
    隠喩にすると・・・「あの人は悪魔だ。」
    → まずは直喩から使いこなせるように。その後省略しても不自然でなければ隠喩を使う。
  3. 知らないことは「知っていること」に例える
    例:「法人における決算書は、学生の成績通知表と同じです。勉強の成果が数字で評価されるように、会社の業績も数字で評価されます。」
    → 決算書を成績通知表に例えて説明しています。

比喩を使うメリット

比喩には以下のようなメリットがあります。

  • 難解な言葉を比喩にすることで、ショートカットできる。
  • 分かりやすく伝える。
  • 読み手がイメージしやすくなる。
  • 意味を強調できる。

いかがでしょうか。第6位で挙げた『わかりやすい言葉を選ぶ』とも被る部分がありますね。

「難しい言葉」を「簡単な言葉」にするために比喩を使ってみる。あるいは、人によってとらえ方が違うような言葉であれば比喩を用いて解説する、などです。

専門用語説明するために専門用語を使うのではなく、違う視点で、誰しもが知っているであろう事を用いて説明するなどと意識してみてください。

第7位:接続詞を正しく使う

第7位は『接続詞を正しく使う』です。

接続詞があることで、読み手は「後ろに続く文(文章)の展開」を予測して読むことができます。

接続詞を使う場合のポイントをみてみましょう。

接続詞は「使い過ぎ」も「使わなすぎ」もダメ

  • 無くても意味が通じる場合は削除する。
  • 順接(だから、それで)は、無くてもいい場合が多い。
  • 逆説(しかし、だけど、でも)は、あったほうが伝わりやすい。

例えば。。。

  • 父は経営者であり、また、マラソン選手でもある。
    → 父は経営者であり、マラソン選手でもある。
  • ルールを変更することになりました。なお、詳細は添付をご確認ください。
    → ルールを変更することになりました。詳細は添付をご確認ください。

必ず入れるべきは「逆のこと」を書く場合

「しかし、だけど、けれども、ところが、とはいえ、それでも、にもかかわらず」などは、入れるべきとされています。「必要なところにはしっかり入れる」ということです。

例えば、以下のような文。

例:毎日10時間勉強した。大学受験に失敗した。
→ 毎日10時間勉強した。それなのに、大学受験に失敗した。

「それなのに」を入れないと、大学受験に失敗したのが残念なのかどうなのか、いまいち分かりませんよね。「それなのに」の5文字を入れるだけで、「こんなにも頑張ったのに!なのに、失敗した…」という「残念さ」がより見て取れ、文と後文の関係性が分かりやすくなります。

最初は接続詞を使って書き、あとかあら削ると良い。

とは言いつつも、いきなり接続詞を削りながら文章を書くのは難しいでしょう。文の論理破綻を招く恐れもあります。

そのため、最初はとりあえず接続詞を気にせずに書いていき、推敲の時点で削り、文章を整えていく。というのがいいのではないでしょうか。

最後に

『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』を参考に、さらに厳選した「本当に大切な7つのルール」をご紹介しました。

「目から鱗」のようなあっと驚くノウハウというよりは、冷静に考えればやるべきことだよなと思うことばかりではないでしょうか。

人類は文字があるからこそ進化したと言われいます。私たち人間が毎日使うモノであり、残せるモノであり、誰か知らない人にも伝わるモノだからこそ、意識して磨いてみてはいかがでしょうか。

これらを意識することで、最低限の文章を書けるようになるはずです。

それでは!

本記事の参考書『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』

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